チヴィタ・ディ・バニョレージョ 2. チヴィタ流 美味しいブルスケッタを召し上がれ♪
2012年 06月 02日

周囲わずか500mほど。
住民も50人に届くかどうか。
間違いなく今まで訪れた「小さな町」の最少記録を更新してる。
それでもこの特異な景観を持つ町は、
イタリアの美しい町(村・集落) I Borghi più Belli d'Italia にも選ばれ、
ちょっとした観光地にもなっている。
最近日本の映画にも登場してたが…ソレはちょっと…な…って感じ (>_<)// チガウダロ~
とにかく_10年、20年後に、同じこの姿が見れるとは限らない。
細い通りで出逢う人はみな、カメラ片手の観光客である。

厳しい環境の中、
チヴィタの人々はオリーブオイルを作り、生活の糧としてきた。
500年以上続くオリーブオイル農家には、
数十年前までロバが回していたという石臼が残っている。
このロバ君たち、石臼はもちろん、橋を渡って荷揚げをするなど
町の人たちの貴重な「足」だったのだ。
今はバイクがその代わりになってるけどねvv

そのオリーブオイル農家でブルスケッタをいただくことにする。
ってか、ワ〜オ!!この暑い最中に、薪でパン焼くの?
物珍しく炉のそばに立てば、ものの数秒で汗が吹き出てくる。
それでも…
こうやってじっくりパンを焼くのが、チヴィタ流。
カリカリに焼けたパンの表面をニンニクでひとなぞり。
ザク切りトマトを豪快に乗せ、塩をひと振り。
そして、ご自慢のオリーブオイルをたっぷりかける。
たった それだけ…
なのに…

ああ〜なんてシンプル! そして…なんて美味しいんだろう♪♪♪
言葉がでない…ってこのこと。
濃厚でありながら、爽やかに鼻に抜けるオイルのウマイこと!!
カリカリパンに染みた部分がまたウマイ!と、ウマイの連発!である(笑)
チーズを溶かしたブルスケッタもわるくない。
他にも、サラミやトリュフペースト、いろ〜んなトッピングが選べる。
でもでも やっぱこの真っ赤な情熱 トマトがいっちばん!美味しいと思う。
「イタリアを食べてる」そんな気がするvv
もちろんワインも忘れずに!
どぶろくチックな色の濃ぉ〜〜い白がお薦め♪
グラスでもカラフェでも頼めるけど、言わずもがなで後者を選ぶ我々(笑)

家屋というより、3000年!以上前に掘られた洞窟の中にあるこの Bruschetteria
外の陽射しは強烈でも、どことなくひんやり感じるのは、気のせいではないだろう。
で、〆はコレね♪♪
お土産にオリーブオイルを是非どうぞvv
ホント〜〜に美味しいから♪♪

チヴィタのイラストもステキな250cc 卓上使い切りサイズ♪
思わず2本も買ってしまいました(^^ゞ
Bruschetteria Antico Frantoio Via Porta della Maestà

観光業に携わるだけじゃなく、
今でも手づからオリーブオイルを作ってる人や、普通に暮らしている人たちがいる。
この町を愛し、歴史と伝統を守りながら。
いろんな人たちの思いが、この小さな町に詰まっている。
最初に見た時の悲壮感が、
しかし今は、誇り高き姿となって目に映る。
死にゆく町でも、滅びゆく町でもない、チヴィタの雄姿が。

チヴィタ・ディ・バニョレージョ 1. 死を背に ひとり佇む陸の孤島
2012年 06月 01日

いつか行ってみたいと思っていた場所に立った時、
目の前の風景が、現実なのか夢なのかわからなくなることがある。
それほどまでに、遠くから眺めるチヴィタ・ディ・バニョレージョの姿は印象的だった。
鐘楼のシルエットがまるで墓標のよう。
しかしそれがなければ、誰もあそこに、人の営みがあるとは思いもしないだろう。
イタリアの街を見て、純粋に美しい!と思った所は数え切れないほどあるが、
その威容さにおいて、チヴィタはピティリアーノに次ぐオーラを放っている。

お馴染みのアングルだが(笑) ココから撮らずにはいられない。
町をつなぐ唯一の道 緑の渓谷を渡る1本の橋は、まるで綱渡り。
なんてアプローチ!なんてドラマチック!
その長さ、約300m。
この立派な橋ができる前は、
一体どんな橋が架かり、どうやって行き来してたんだろう?と思わずにはいられない。
手前にバニョレージョという小さな町があるが、
それが唯一、外との繋がりとなっている、まさに陸の孤島である。
要塞のような町に近づくと、橋の傾斜がグンときつくなる。
全く遮るものがない天上から、強烈な陽射しが脳天を焦がす。
いつもなら閉口する坂道も、
この劇的な序章のお陰で、全く苦にならないから不思議だ。

遠くから見るより、うんと小さく感じられる鐘楼。そして教会。
広場の石畳ははがれるままで、
運動場さながら地面が剥きだしになっている。
普通の町でいえば、一番賑わいを見せるであろう場所なのに、
カラカラに乾いた地面が、もの悲しさを誘う。

「バーニョ〜お風呂」という名が示すように、
周囲は温泉が噴き出す (温泉はなかったけど…) 火山地帯なんだそうだ。
それが度重なる震災により、地面が崩落。
チヴィタの町が乗っかった山だけが取り残された。
生きる糧は、1本の橋のみ。
人々が新しい生活を求め、町を離れたのもムリはない。
今だって風雨にさらされ、年々、確実に山肌が削られていく。
そしてそれは誰にも止められない。
美しくも印象的な姿とは裏腹に、過酷な運命を背負ったチヴィタは
La citta che muore 〜死にゆく町と呼ばれている。