マテーラ 3. サッシの いま・むかし
2010年 04月 16日

典型的な農民の住居を見学してみよう。
前はとにかく町歩きがしたくて、こぅゆうとこすら入らなかったんだなぁ〜(^^ゞ
15畳くらいだろうか?
天上が高いのでそれほど狭さを感じないが、決して広くはない。
平地が乏しいこの地で、岩をくり抜き確保した貴重なスペース。
だからもぅ〜全てが一緒の空間に納まってる。
キッチン、ベット、トイレに馬小屋。
コレは究極のワンルームだな(笑)
よいしょ!って登るくらい高いベッド。
それは、ベット下の空間も有効に利用するためで、
ココの住人は、コケコ〜♪なニワトリだ。
農民にとって家畜は大切な家族であり財産。
わかってるけど「同じ部屋」に、なんとウマっ子までいる(笑)
衣服タンスかと思った中身は、小麦やトウモロコシなどが入った食料ダンス?で、
ウマっ子のエサ用引き出しもちゃあ〜んとあるのがスゴイ。
部屋の主!ってくらい立派なベットには、
川の字、いや…もっと大勢寝てたのかもしれないが
それでも場所がない子は、引き出しの中で寝てたらしい。
そんなんタンス倒れるんちゃうん?と思いながらも、
なるほどナイスアイデア♪って思わず膝を叩いてしまった(笑)
でも_子供たちがデカクなったら、どうするんだろう?

冷静に考えると、家畜と一緒で、トイレも汲み取り&むきだし…だし
部屋の中はふんぶんたる匂いがしたのではないかと…(TOT)/
実際、入口付近にしか窓を設けることができなかったので、
衛生状態がよろしくなく、疫病が流行り、人が離れていく原因にもなったのだとか。
じゃあ〜なんでわざわざこんなとこに住んでるのよ?って言いたくなるけど、
ここにしか住めなかった人たちがたくさんいた…ということなんだろう。
同じイタリアというのに、花の都フィレンツェとの違いはどうだ?
とかく言われる南北イタリアの貧富の差や、負の歴史が、間違いなくここにはあったのだ。
むろんココは再現住居で、現在は普通に快適に人々が暮らしてるし、
サッシを利用したホテルやレストランも多くある。
町は人が住んでこそ命が宿るというもの。
歴史的遺産と人間の共生を経て、
次に訪れた時はきっと、また違った顔を見せてくれるに違いない。
目玉はここマテーラくらいで、メジャーな観光地とはいえないバジリカータ州。
いつか他の場所もゆっくり訪れ見てみたいな。
そうそう!マテーラのパンも、アルタムーラに負けないくらい美味しいらしい。
しまった!味見してくるんだった〜(>_<)//

Città di Matera
APT Basilicata
SASSI WEB *丁寧な日本語サイト有り
Chiese rupestri virtual tour *自在なパノラマ写真で、行かずしてサッシを見る!
マテーラ 2. さよなら代わりの Jacob's Ladder
2010年 04月 12日

以前はサッシの持つ独特な吸引力に惹かれるまま、通りを彷徨い歩いただけだったけど、
今回は見所4カ所に入れる共通チケットを購入vv
教会にもはじめて入りました(^^ゞ
写真が撮れないので内部はサイトを見てもらうとして…
その名の通り、聖ルチア を祀った
サンタ・ルチア・アッレ・マルヴェ教会〜Sante Lucia alle Malve
こちらのフレスコ画、ちょっとわかりにくいが、
聖ルチアが左手に持つ杯の中に目が2つ浮かんでいるのがわかるだろうか。
拷問によって両目を潰されるも、奇蹟によって目が見えるようになったことから、
「目の守護聖人」としても知られています。
かように、それぞれの聖人のシンボルが画の中に表現されることが多く、
聖ペトロ の鍵だとか、聖カテリーナ の本とか_
それは文字が読めない貧しい信者のために描かれたのがはじまりであっても、
アテクシのような門外編にもわかりやすいし、
謎解きみたいで面白く画が見れると思うんです。
って…知っていれば…のハナシで、いつも後で後悔するアタクシですが…(^^ゞ

小雨が舞ったり、日が差したと思ったら厚い雲が広がったり…のヤヤこい天気。
おどろおどろしく(!)写ってしまったこちらは、
その十字架が、サッシの中で一際シンボリックに映える
サンタ・マリア・ディドゥリス教会〜 Chiesa di Santa Maria di Idris
双方の岩窟教会にいえることは、
ホントに岩をくり抜き、削った構造になっていること。
いびつに曲がった柱やノミ跡残る壁など、素朴でいて力強く、
大理石の聖堂とはまた違う荘厳さを漂わせている。
もともとこの地の石灰岩はやわらかく加工がしやすいそうだが、
これほどの規模_大広間やヴォールト、祭壇などを作るには、
多大な時間と労力がかかったに違いない。
しかもその数がハンパなく多い…ときてるのだから、信仰のチカラ、恐るべし…でアル。
思うに_自然の洞窟がい〜っぱいあったワケだから、
年代バラバラ、みんな好き勝手に「オラが祠」を掘りまくったのではないだろうか。
と〈妄想〉すると、ちょっと楽しくなってくる。

街を離れる前、対岸の展望台に寄ってみた。
長い1日も終わろうとしているとき、
厚い雲間から、それは見事な、それは美しい Jacob's Ladder が延びていた。
特異なロケーションを活かし、多くの映画の舞台ともなったサッシ_マテーラだが、
この場所で「パッション」のキリスト磔刑の場面が撮られたそうだ。
しかし、そんなことを知らなくても、
今、目前に広がる光景は、まさに、ほんとうに、神々しいのひと言であった。
マテーラ 1. 美しく哀愁漂う岩窟住居の街
2010年 04月 09日

良くも悪くも記憶力の悪いアタシだが、
10年以上前に訪れたサッシの前に、今こうして再び佇んだとき
オソロシイくらい当時の記憶が蘇ってきて、いろんな意味で胸が熱くなった。
Hotel だったか Albergo だったか、とにかく、泊まった所の名前が「Italia」だったこと。
変哲のない町の通りを抜け、目の前に突然、峡谷のパノラマが現れた時の驚きと感動。
ゴーストタウンのような住居群の中を1人歩き、猫の影にさえ怯えたこと。
今よりずっと多感だったであろう事を差し引いても、
それまで目にしてきた「美しイタリア」の対極ともいうべきサッシの姿は、
鮮烈な印象となって記憶の中に残った。
世界遺産の保有数が世界一多いイタリア。
その多くが、美しい景観や歴史地区、特徴的な建造物で占められている。
全部を見たワケではないが、
アタシも含め、訪れ見た人は、純粋にキレイだな、スゴイなと思うだろう。
しかし、ここマテーラの洞窟住居〜Sassi di Matera には、
間違いなく他とは全く違う感銘を受けるに違いない。
それくらい、特異で特別な世界遺産のひとつであると思う。

以前はほとんど無人の、それこそ「廃墟」だったサッシも
新しく人が移り住んだり、ホテルやリストランテができたりと、ずいぶん活性化したらしい。
フムフム_標識もバッチリ出てるし、土産物屋も増えたようだ。
犬のフンも多いけど(笑)
それでもそれは、絶景パノラマビューのテラスへ至る周辺や、高台だけのような気もする。
町外れや下層部分_いわゆる低所得者住居に目をやると、
山肌と同化した人気のない人家が、上へ横へと重なり連なり、
異様で摩訶不可思議なカタチを形成している。
まるで、スターウォーズに出てくる惑星なんとかみたいだ。
あの中を1人で歩くには、今でも少々勇気がいるかもしれないが(笑)
こぅやって遠く離れて見ている分には、とっても絵心誘う風景だ。
事実、人の手と自然によって創られたサッシの姿は、たいへん美しく感動的だ。
たとえその始まりが、迫害者や貧困者のための住居だったとしても、
だからこそ感じるのだろう、ちょっとしたもの悲しさや退廃感が
その姿をいっそう美しく際だたせていると思う。

ずぅう〜〜んと引くと、
街の前には、鋭くV字に切れ込んだグラヴィーナ渓谷が広がっている。
対岸の周囲一体は、州立ムルジャ公園となっており、
マテーラの街と同じく世界遺産に指定されている。
中には自然の洞窟が無数にあり、
それらを利用した岩窟教会が数え切れないほど残っているのだという。
なるほど、公園の正式名称が「考古学歴史自然岩窟教会公園」となるワケだ。
スゴイ!名前も長いよっ!(↓) (笑)

Parco Archeologico Storico Naturale delle Chiese Rupestri del Materano