
アニョーネは I Borghi Piu' Belli D'Italia (イタリアの最も美しい村) ではないけれど、オレンジ色の旗が目印の
Bandiere Arancioni にチョイスされている。
I Borghi Piu' 〜の方が知名度が高いが、この2つは『訪れた者に伝統的な文化や歴史、環境を提供できる場所』という同じような選考基準を設けているので、オレンジフラッグ認定の町も捨てたもんじゃありません。
実際アニョーネには上記の基準を満たすコンテンツが揃っている上に、町並みの美しさが加わって、かなりステキな町になっている。ではでは、東西に細長い町の西側〜旧市街へと歩を進めてみようv
銅製品を扱うこ〜ゆ〜店が目につきます。それはアニョネーゼ(アニョーネの人)といえば銅細工師を指すほど銅の加工も盛んだったからだ。銅製のボイラーが使われていた時代には、アニョーネ製なら間違いない!と、絶大な信頼があったそうな。
今は職人も工房も激減して、実用的、お土産的な物が多くなっているが、町の北はずれに伝統的な銅細工を施す最後のマエストロと言われる
Gerbasi家の博物館があり、ガイド付きで銅製品の歴史や成り立ちを学ぶ事ができます。
時折、目を覚まさせるような袋小路やトンネルが出現するけど、整然とした通りが総じて歩きやすい旧市街の中心、プレビシート広場。カッラーラの大理石を使った18世紀の噴水を飾るのが、石像ではなく鋳鉄製のグリフィンなのがこの町らしい。
今夜はガッツリ食べたいので、BARでなにか軽くつまんでいこう。古い家屋が詰まった旧市街も大好きだけど、こんな風に適度に店が混じってるのも楽しくてよいよね(^-^)

みんな違う教会〜!!
ひと休みした後は忘れちゃいけない教会巡り。
アニョーネは
フロゾローネより少し大きいくらい。どちらかというと小ぢんまりした町だが、その中になんと16もの教会がある。しかもそのほとんどが鐘楼を持つ立派な教会だからビックリする。
wikiの人口統計によると2021年度が約4600人ほどなので、実に300人弱に1つの教会があるということになる。ソレがどんくらいかわかんないけど、町の規模や人口に比べたら少々オカシイ数字なのは間違いない(笑)
これはかつてアニョーネがナポリ王国やシチリア王国下の
Città regia (領主ではなく国王直轄下の国有都市)であり、多くの学者や芸術家たちが集まったこと。
Marinelli を始めとする優れた地場産業があり、18世紀を頂点に栄華を極めたからだ。また、
モンテマルティーニに先駆け発電所を作り、ローマより先に電気が通った事も町の誇りだ。
*モンテマルティーニ発電所は今
カピトリーノ美術館の別館になっている。発電所を利用するなんてオサレすぎるよね!! いつか行ってみたいものです。
16ある教会の半分以上が集まっている旧市街では、地図を追っても名前も場所もワヤになるのは必然。心を「無」にして気の向くまま、足の向くまま訪れるのがよいかもしれない。
一気に人が減った昼下がり。ロマネスク、ルネサンス、バロック…さまざまに顔を変えて出迎えてくれる教会は、ただただ身を置くだけで静寂と安らぎを与えてくれる…はずです。
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wiki にそれぞれの教会の説明が詳しく載っているので参考にしてください。
最後にスイートなおハナシを…。
アブルッツォと分離して“モリーゼ州”を作る時、州境まで10キロもなかったアニョーネはアブルッツォ州に組み込まれていた。でも、やっぱアクセスが不便じゃね?ということでモリーゼ州に収まることになったという経緯がある。
だからかアブルッツォの銘菓
Confetti がアニョーネにもある。コンフェッティで有名な
スルモーナまで1時間半ほどだからかなんとなく合点がいくかも。
そして、こ〜ゆ〜の日本にもありそじゃね?な右側は、修道女が生んだ
Ostie ripiene di Agnone. ハチミツで固めたナッツやドライフルーツなどを薄いウエハースで挟んだお菓子だ。焼印にはそれぞれ意味があり、ウエハースを焼く
器具は、各家庭で大事に受け継がれていくそうだ。
これらを買うなら数々の受賞歴があり、創業以来家族経営で手作業にこだわる
Carosella がオススメだ♪ 特にコンフェッティは有名で製造特許を取ってるほど。また、180余年の歴史があり、モリーゼ州で最も古い Pasticceria の1つとされています。
ね?イイ町でしょ?アニョーネ(^-^)
食や歴史、産業、町並み。それらがバランスよく散りばめられていて、買い物や買い食いしたい人、町歩きしたい人、歴史や文化を知りたい人…などなど、いろんな目的をもつみんなが楽しめる町だと思う。エリア的にもちょうどよい大きさだし。
鐘の受注のためにアニョーネを訪れた
ヨハネ・パウロ2世が町を後にする時に「ここに来る価値があった」と言ったのは、稀代な教皇の心からの真意だったのではないだろうか。機会があれば是非足を運んでみてください(๑•̀ㅂ•́)و✧