アニョーネには前述したカチョカヴァッロの他にも…というより、もっと有名だろう場所がある。紀元前3世紀頃にはすでに金属鋳造が行われていたというこの町で、一千年近く(主に)鐘を作り続ける奇跡の鋳造所。世界で2番目に古い家族経営の企業
Marinelli (マリネッリ)がソレである。
なもんで、今回は鐘の写真ばっかになるけど我慢してください…(^^ゞ
当初は中国で楽器として使用されていた「鐘」が、仏教やキリスト教などの普及に伴い宗教的儀式に用いられるようになる。そのうち教会のシンボルとして無くてはならないものになっていく。
伊国の町や村には大小問わず必ず教会があるものだ。イタリア人の多くが熱く抱く郷土愛〜“カンパニズモ” という言葉が、生まれ育った地の鐘の音は決して忘れないことからきていると言われているように、時を告げ、急を、歓びを、悲しみを告げる鐘の音は、アタシたちが思うよりず〜っと身近で大切なものだと改めて思う。
そんなお鐘サマがズラ〜リと並ぶ鋳造所にまず圧倒されます。
アニョーネには実に16もの教会があるが、言うまでもなくその鐘はマルネッリ製であり、ウンブリア州以南の全ての教会の鐘をマルネッリが手掛けているというからスゴイ!!!
*いくら調べてもわかんなかったのだが、札幌のスポーツセンターかゴルフ場?! にマリネッリの鐘があるみたい。
遠目から見た時、一瞬イカを干してるのかと思ったわ!! な屋上にも鐘が。
いやいやこれは冗談としてこのマリネッリ。1924年に
ピウス11世により特許を授与され、鐘に教皇の紋章を刻むことを許されるようになった。曰く教皇庁御用達になったのだ。イカなんてとんでもありません(笑)
緑青が吹いて、まるでお寺の鐘みたい。
教皇庁御用達になり「教会」という大きなパトロンを得たマリネッリだが、戦時中は鐘が溶かされ大砲になったり鋳造所が全焼したりと、決して順風満帆だったワケではない。そんな苦難の道を辿りながらも、今なお昔と変わら製法と木燃料にこだわり鐘を作り続けている。
特に鐘の音色を決める“鋳込み”はマリネッリ家の当主だけが行う重要な作業の1つで、教会用の鐘を作る時は、横で司祭が祈りを捧げるという。前述したジュビリー用の鐘は法王の希望で「G (ソ) 」の音色になるように作られたそうだ。
内部は撮影も録画も禁止なのでHPより写真をお借りました。約1時間ほどかける密度の濃いツアーは、最後にベルの演奏が始まりそれはそれでステキな音色だったのだけど、う=ん、ちと長い。周囲の人たちも同じ思いだったようでみんなモジモジしてるし。
そのうち演奏の途中で拍手が鳴って強制終了になっちゃった。ワハハ!!! そんな拍手の使い方があるんだ〜って笑っちゃったけど助かったわ〜(笑) あ、でもこのツアーはたいへん興味深いのでよかったら参加してみてください。
ホンマに鐘の写真ばっかや〜ん!!! でありますが、アニョーネに来たならばマストで寄っておきたいマリネッリ。
ショップもあって小さなハンドベルなどお土産にもイイんじゃないかと思います。なによりマリネッリを後にして聞く鐘の音は、きっと違うものに聞こえるはずだから。
次に書くけれど、アニョーネはとっても感じがよい町なので、1泊するのもオススメだ。鋳造所の近所にマリネッリ一族の関係者が営む
Locanda La Campana があり、ここに泊まると鋳造所ツアーが無料になるみたいなのでチェックしてみてください♪