本日のメインイベント地に到着しました。
外から見るとただの野っぱらワケよ。だからなしてこんな所に?!と思ってしまうが、
Transumanza と呼ばれる
移牧用の道〜Pescasseroli (アブルッツォ) と Candela (プーリア)を結ぶ
Tratturo Pescasseroli-Candela のちょうど真ん中にあったため、羊飼いたちがチーズや羊毛を現金化する重要な交易地だったみたい。それがアウグストゥスの手によって入植地となり生まれ変わる。その名残がこの遺跡なんである。
正式な地名はアルティーリア(Altilia)という。だが、遺跡近くの町セピーノやこのサエピヌムも「囲う(フェンス?!)」という意味のラテン語「Saepio」からとられている。
「囲む」それは外敵から身を守ると共に、ココが神聖なるローマの都市であるという証でもあった。また、四方に堅固な門を設けて町へ入るための税を徴収したという。
まぁとにかく…砂漠のオアシスのように、山中の宿場町のように、商人や旅人が集まり、産業が生まれ、発展していったのだ。そこで町づくりの名人、古代ローマ人の手腕が至るところに発揮されることとなる。
人が溢れ、賑わいも増すと、娯楽も必要よね♪と作られた劇場は約3000人収容の立派なもの。
夏は天幕を張って暑さ対策もバッチリ!賢いというか商売上手というか、観劇後の人々を商店(市中)に流すための専用道も設けられていて、ちょっと外れた所に建てたのは意図的?!って、思うほど。劇場横には運動場やジムも併設されていた。
お得意の?!水回りの整備も完璧!貯水槽に貯めた水を利用して水車を回し、羊毛や皮革加工、製粉所や染色などの手工業に用い、ローマ人が大好きなテルマエは3つもあり、そのうちの1つは、羊飼いたちを含む旅人専門だったそうだ。
これもキレイに遺っていた共同洗濯場には、今もキレイな水がこんこんと湧き出てたよ♪
ポンペイは確かにスゴい!でも…ここサエピヌムにも2000年以上前の道が遺ってる。ほら、車道と歩道がちゃんと分かれてるでしょ?
流れに流れていく無為の中で、敷石の隙間を縫って茂る夏草だけが生と死を繰り返している。つい感傷的になりそうだが、この青空と新緑の前では、どこまでも牧歌的です。
テルマエも大事だけど、同じくらいこちらも大事(๑•̀ㅂ•́)و✧
市中を通る十字路の中心に建てられた神殿。そう大きくはないけれど
イオニア式の円柱が20本も遺っている。神殿の正面には巨大なフォロ(公共広場)、裏手にはマセラム(市場) があった。
四方を守る門の中で最も保存状態のよい北西の門〜 Porta Bovianum(ボヤーノ)。東南の門は Porta Benevento など、その先に通じる町の名がつけられている。上部に掲げられた碑文が遺っていたおかげで、門や壁の建設年代(紀元前2世紀〜西暦4年)が解明できたそうだ。
ちなみに碑文には「アウグストゥスの息子ティベリウスとその息子ドルススが資金を出して壁と門を建てた」と、誇らしげに刻まれている。
崩れないかドキドキしながらも、まじまじと見上げてしまった門の作りもスバラシイが、キレイに整えられた正方形の石材を網目状に積んだ壁も密かな必見ポイント。いや…アタシが石畳とか石壁フェチなだけ…なんですけど…(^^ゞ
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こちらのHPに二重構造になっていた立派な門の復元図が載ってます。
日本の石垣と全然違うところが面白いよね。築城名人の
清正や高虎が見たらどぅ思うだろう?!
壁の高さは約4.8m。厚さは約1.8mと均一に整えられて(!!) 約30mごとに監視塔を挟んでいた。それがグルリと約4キロほど続いている。
ここは崩れてるけど、人気のない端っこに行くと
高い壁や塔が遺ってます。
ちょうど真っ昼間。ガンガンに暑かったとしても、緑豊かなシチュエーションも手伝って、広大な遺跡を散策するのはとても興味深く楽しかった(^-^)
都市構造がまんまわかるほど保存状態がよく、貴重で見所いっぱいの遺跡は「ちびっこポンペイ」と言ってもいいほど。しかもなんと無料!(劇場跡にある考古博物館は有料)。カンパーニアの
パエストゥムも世界遺産なのに実に大らかだったが、ローマのフォロ・ロマーノやコロッセオが有料なことを思うと(い、いつの間に!!)、ローカルサイドならではの(スイマセン!!)ありがたい話である。
でも保存は大事!でも大丈夫!
戦争や災害から守るべき文化財として、サエピヌムの考古学エリア全体が2010年、
国際ブルーシールドの認定を受けたからだ。「ブルーシールド」ってアタシも初めて知ったけど、これからすごく大事な協定になっていくと思う。世界遺産のマークもよいけれど、
青い盾のマーク、これもしっかり覚えておくとイイかもしれない。
今も発掘調査が行われていると聞くが、人っ子一人おらず、可憐な野の花に溢れた遺跡は、遠く太古の楽園のよう。こんな季節に、たまたま訪れた事にナムナム合掌したいほど感動しました!! モリーゼの必見ポイントとして是非オススメしたいです。
*車が便利だが1日3本?! カンポバッソからアルティーリア: Altilia (サエピヌム)までバスがあり約30分で行けます。後述する
セピーノは I Borghi Più Belli D'Italia. の町。カンボバッソからの日帰りにもピッタリだよ♪ バスは
ココから調べてみてね。
*家庭的な
レストランが1軒あるが、パニーニなお弁当持参でも気持ちよいと思う。遺跡の常で日陰が少ない。暑い時季は「命の水」を忘れずに(๑•̀ㅂ•́)و✧