ボーヴァ(の周辺)にはグレカニコの他に希少な物がもぅ1つある。
果肉は苦くて食用に向かないが、果皮から抽出される精油(エッセンシャルオイル)は、数々の有名ブランドの香水の中に。アタシたちも口にする紅茶のアールグレイの香りづけに。強い抗菌作用を活かして医薬品に。その他さまざまな食品の香料として使われている。
暑かったので果汁入り炭酸ジュースをさっそく飲んでみましたv
良い意味で、イケてないグレープフルーツのような苦みとライムのようなスッキリした香り。海を臨む木陰のベンチという最高のシチュエーションで口にした事を差し引いても、灼熱のボーヴァに一陣の風が吹き渡ったように爽やかで、実に、実に美味しいデス♪♪
これを作っている
La Spina Santa は、他にも多くのベルガモット製品を手がけており、アグリも併設している。ホントは泊まりたかったんだけど、ローカルエリアのアグリあるある物件〜メールの返事が全然返事が来なくて泣く泣く諦めたのであった…合掌、、、
特等席でベルガモットをいただきました(//∇//)
ではこっから、後付けで知った(またか〜いっ‼︎)「すごいぞベルガモット!」についてアウトプットしていきマス。表皮5ミリな知識でベルガモットを目指したアタシ。知らなくても困らないが、知っていたらと思うと残念に思ったし、万が一誰かのお役に立つかもしれないので(?!) むっちゃ長くなるけど、よかったら読んでください(^^ゞ
中国やカナリア諸島伝来と言われるベルガモットの起源は今も明らかになってないけど、ある時、カラブリア南部のとある農夫がオレンジに似た果実を見つけ、手に取る所から物語は始まる(おいお〜い!!(笑)。果肉はカトちゃんペ〜ッ!とするほど苦かったが、手についた残り香はうっとりするほどかぐわしく、これを利用できないかと1680年頃、本格的にベルガモット栽培が始まった。
現在はシステマチックに行われているが、1960年代まで残っていた伝統的な抽出方法は、果肉をくり抜いた果皮を海綿に押しつけ移し取るという、極めて原始的な手法だった (↓)
えぇええ〜?! こんなんで取れるの?ってビックリしちゃうよね?!
でも…できるんです。
なぜなら……
果皮をちょっと握れば、ご覧の通り。
ブッシャア〜!! と、ふなっし〜もひれ伏す勢いでエキスが吹き出すからだ!!(@▽@)!!
画像は
コチラのHP内の動画集から拝借したんだけど(収穫の様子なども見れるので興味をあれば見てみてね) 見た瞬間、うわ〜!!って声あげちゃったくらい「ほとばしる」ンである。
13時。まっ昼間のボーヴァ。暑いはずだわ、こりゃ。
ただ、この方法は手間と時間がかかるため搾取量は少なく、ベルガモット精油はたいへん珍重された。じゃあ〜オイラん所でも作ろう!と、本国イタリアや近隣諸国がこぞって手を出したのだが、フシギな事に
レッジョ・ディ・カラブリアから
ボーヴァ・マリーナまで。約70キロのイオニア海沿いでしかうまく育たず、また質の良い精油も採れなかった。
果皮から採れる精油以外にも枝葉や未熟果、花まで、余すことなく利用されるベルガモットは、1本の木に6つの宝物が成ると言われている。実際、唯一無二のベルガモット産地として、カラブリア南部に富をもたらす黄金の果樹となった。一説によると、ベルガモット農家の寄付だけでオペラハウスが建ったほどだという。
現在でも世界のベルガモット精油の9割近くを生み出す
Bergamotto di Reggio Calabria - Olio essenziale. 言うまでもなく
D.O.P. 指定品であり、スローフードの中でも特に希少な
Ark of Taste〜味覚の箱舟 にも指定されてる。
味覚の箱船?! そんなん初めて知ったわ!欧州の中でもイタリアはぶっちぎりの1位!で、なんと900種以上が選ばれている。自国に甘い?そんなたくさん箱船に乗るんか〜い?と、突っ込みたくなるが、さすがイタリア!楽しくていちいち見てたら恐ろしく時間が経っちゃったけど、それでもイイ方は(!!)
コチラからチェックしてみてください(๑˃̵ᴗ˂̵)و
人っ子ひとりいなかった通り。
さてお次は、名だたる著名人たちが愛した“香り”の話デス。
16世紀後半。ひと儲けできないかと、ピエモンテ出身の調香師
ジョヴァンニ・マリア・ファリーナが
ケルンにやって来た。「香りとケルン」とくればは アッ!!と思う方もいるだろうが、もぅ少し我慢してください(笑) でね、中世ヨーロッパの衛生状態はというと、入浴しないから体臭は酷いわ、通りは糞尿まみれだわと、あらゆる悪臭に満ちていた。そのため、好みというより必然的に、強く重厚な香りの香水が主流であった。
こっから勝手に想像しちゃうと…ふんぷんたる匂いの中で、ファリーナはフッと、ある情景とある匂いを思い浮かべたのではないだろうか。それは…昨晩降った雨が、花や草木、果実の匂いをまといながら空中に立ち上る陽春の早朝。生命の息吹が醸し出す、清涼で爽やかな匂いであった。
香りが呼び覚ます記憶というのは、胸が痛くなるほどキュンとなるものだ。ファリーナはきっとコレだ!と思ったに違いない。さっそく「雨上がりの春の朝」をイメージした香りを調合する。主成分の1つに祖国イタリアのベルガモットを使って…。
ヨハン・マリア・ファリーナというドイツ名にして、ケルンに骨を埋める事にしたファリーナは、新しい故郷となったケルンに敬意を評し、できあがった香水を「ケルンの水」と名付けた。そう…今日知られる「オー・デ・コロン〜Eau de Cologne (仏語でケルンの水)」が、ここに誕生したのだ。
従来とは真逆の爽快でフレッシュな香りは、瞬く間に人々を魅了する。ファリーナは署名付きの使用説明書も添付して品質を保証。やがて欧州中のほとんどの王室御用達品となり「ケルンの水」の名と香りは不動のものとなる。香水の町として世界中に名が広まったケルンは、香水瓶を持つ石像を作り、ファリーナの功績を称えたほどであった。
1709年には世界初の香水工場も設立。戦火を逃れた地下室は、階上のショップ兼香水博物館と合わせて現存しており、残された大量の顧客名簿には、モーツァルト、ヴォルテール、ヴァルザック、トーマスマン、はたまたダイアナ元妃まで。蒼々たるメンツが並んでいるという。
左:説明書付きのケルンの水。アンプルみたいなミニボトルタイプだったんだね。1日1本使うほど愛用していたナポレオンは、自らの長靴に香水瓶を差し込めるポケットをわざわざ作らせたという。
右上:1837年。ヴィクトリア女王が付与した王室御用達証明書。
右下:手元に常にオー・デ・コロンを置いていたゲーテが、6本入りの箱を送って〜!と、ケルンにいる友人に宛てた手紙。
以来、300年以上の歴史とレシピを守り続けている
Farina1709。シンボルマークの赤いチューリップは、当時たいへん高価だったチューリップを用いる事で、高品質であることを謳ったという。
時代と共に香りが変化しつつも、唯一変わらぬのがカラブリア産のベルガモット。高品質な事はもちろん「イタリア人」であったファリーナの血筋と精神を受け継ぐものとして大事に、そして徹底的にこだわっているそうだ。
と…知れば知るほど1度嗅いでみたいファリーナだが、ゲットするにはなかなかにハードルが高い(>_<) ちなみにこんな香りなんだって。聞いた事ない香料だけリンク貼っておくけど、あぁ〜こんな香りなら好きかも♪♪
トップノート:ベルガモット レモン
ミドルノート:
ガルバナム ジャスミン ヴァイオレット
ラストノート:サンダルウッド シダーウッド
オリバナム ムスク
反対に…なんならドラッグストアにもある、アテクシも使ってた事がある
4711のポーチュガル〜Portugal は、みなさんも1度は見た事あるんじゃないでしょうか。実はこれもオー・デ・コロンと呼ばれているのです。
これは商標登録の概念がなく、あまりの人気と知名度に「オー・デ・コロン」が一般名称可してしまい、他社も参入してしまったからだ。
4711の歴史も興味深いモノがあるが、我こそはオー・デ・コロンの元祖なり!と、ファリーナと裁判沙汰になった事もあるそうだ。
しかし、4711が製品化したのはファリーナのレシピ発明から100年も後のこと。ココ、とやかく言うつもりはないけれど、オー・デ・コロンを生み出したのは間違いなくファリーナなんじゃないかな。ハイ。
ちなみに両社共、現在も創業当時の場所に店を構えており、その距離、直線で500m足らず。ケルンというと
大聖堂は見逃せないが、Farina1709と4711。オー・デ・コロンの礎を築いた2店に足を運んでみるのもよいかと思いマス(๑˃̵ᴗ˂̵)و
さぁ〜ココでよぅやくフィニッシュです。ベルガモットは一体どこいっちまったの?って感じだが…長文お疲れさまでした(^^ゞ 「オー・デ・コロン=ケルンの水」というのは以前から知っていたけれど、そこにイタリア人とイタリア半島の最南部。ごくごく一部に実るベルガモットが関わっていたのは初めて知りました。後付けにわか知識だけど、ちょっと感動したわ〜(๑˃̵ᴗ˂̵)و
カラブリア州内でも実物を見る事は希だというから、ここまで来たら是非ベルガモットにご注目を!オー・デ・コロンはぶっちゃけどこでも買えます。でも…希少なエッセンシャルオイルはもちろん、ズッコやクレーマ、コンフェットゥーラにリキュールなどなど。多彩なベルガモット製品を(安価)でゲットできるのは産地ならでは!なので(//∇//)
農家まで行かなくてもスーパーや食料品店に置いてあるかもしれないし、こんな製品があるよ〜という参考に貼っておきます。後で書くけど、大きな街〜レッジョ・ディ・カラブリアにもベルガモット商品があります。