マテーラ 1. 美しく哀愁漂う岩窟住居の街
2010年 04月 09日

良くも悪くも記憶力の悪いアタシだが、
10年以上前に訪れたサッシの前に、今こうして再び佇んだとき
オソロシイくらい当時の記憶が蘇ってきて、いろんな意味で胸が熱くなった。
Hotel だったか Albergo だったか、とにかく、泊まった所の名前が「Italia」だったこと。
変哲のない町の通りを抜け、目の前に突然、峡谷のパノラマが現れた時の驚きと感動。
ゴーストタウンのような住居群の中を1人歩き、猫の影にさえ怯えたこと。
今よりずっと多感だったであろう事を差し引いても、
それまで目にしてきた「美しイタリア」の対極ともいうべきサッシの姿は、
鮮烈な印象となって記憶の中に残った。
世界遺産の保有数が世界一多いイタリア。
その多くが、美しい景観や歴史地区、特徴的な建造物で占められている。
全部を見たワケではないが、
アタシも含め、訪れ見た人は、純粋にキレイだな、スゴイなと思うだろう。
しかし、ここマテーラの洞窟住居〜Sassi di Matera には、
間違いなく他とは全く違う感銘を受けるに違いない。
それくらい、特異で特別な世界遺産のひとつであると思う。

以前はほとんど無人の、それこそ「廃墟」だったサッシも
新しく人が移り住んだり、ホテルやリストランテができたりと、ずいぶん活性化したらしい。
フムフム_標識もバッチリ出てるし、土産物屋も増えたようだ。
犬のフンも多いけど(笑)
それでもそれは、絶景パノラマビューのテラスへ至る周辺や、高台だけのような気もする。
町外れや下層部分_いわゆる低所得者住居に目をやると、
山肌と同化した人気のない人家が、上へ横へと重なり連なり、
異様で摩訶不可思議なカタチを形成している。
まるで、スターウォーズに出てくる惑星なんとかみたいだ。
あの中を1人で歩くには、今でも少々勇気がいるかもしれないが(笑)
こぅやって遠く離れて見ている分には、とっても絵心誘う風景だ。
事実、人の手と自然によって創られたサッシの姿は、たいへん美しく感動的だ。
たとえその始まりが、迫害者や貧困者のための住居だったとしても、
だからこそ感じるのだろう、ちょっとしたもの悲しさや退廃感が
その姿をいっそう美しく際だたせていると思う。

ずぅう〜〜んと引くと、
街の前には、鋭くV字に切れ込んだグラヴィーナ渓谷が広がっている。
対岸の周囲一体は、州立ムルジャ公園となっており、
マテーラの街と同じく世界遺産に指定されている。
中には自然の洞窟が無数にあり、
それらを利用した岩窟教会が数え切れないほど残っているのだという。
なるほど、公園の正式名称が「考古学歴史自然岩窟教会公園」となるワケだ。
スゴイ!名前も長いよっ!(↓) (笑)

Parco Archeologico Storico Naturale delle Chiese Rupestri del Materano